CDショップレーベルのA&Rのお仕事

タワーレコード在籍の最後の1年半ぐらいは、レーベルのチームでA&Rの仕事をしていました。


ただ、私自身も異動するまで


「えーあんどあーるってなに?」


って思ってました。


「制作」「宣伝」「販促」「営業」といったポジションは、音楽レーベル以外の仕事でも当てはまりますが「A&R」は、他では聞いたことがありません。そもそも、なんじゃ!この「A」と「R」、そして間をつなぐ「&」は!


約2年前の私含め、あんまり聞きなれない、という方もいらっしゃるかと思いますが、このA&Rというお仕事は……。


A&R(エーアンドアール)はレコード会社における職務の一つ。 Artists and Repertoire(アーティスト・アンド・レパートリー)の略。 アーティストの発掘・契約・育成とそのアーティストに合った楽曲の発掘・契約・制作を担当する。(by wikipedia


というポジションの仕事です。


いわゆるマネージャーにも近い感じもしますよね。マネージメントは対象となるアーティストをどうやって売り込んでいくかを「人」を軸に考えることに対して、A&Rは「CDや音源」を軸に売り方を考えていく、という感じでしょうか。もちろん、アーティストと音源は密接に関係しているものなのですが。


音源の制作に携わるA&Rもいますが、私の場合は発掘と契約に加えて、宣伝や販促に近い動きをするA&Rでした。あとは、予算の管理とか、全体の進行とか。これまでのキャリアとはまったく異なる領域の仕事で、驚きの連続。CDを販売する会社で、CDを制作する方になる、というのは、想像もしていなかったですね……。


では、具体的にどんな感じのことをしているかと言いますと。


そもそも、どのアーティストの作品を作るのか? 音源や宣伝、販促の予算はどれぐらいにするのか? 契約の内容は? レコーディングはいつ? マスタリングは? 入稿スケジュールは? リード曲は? アーティスト写真のイメージは? ジャケットは? ミュージック・ビデオの内容は? 初回プレス枚数は? インストア・イベントは? 宣伝は? 売り上げや配信のダウンロード、ストリーミング再生の数は? 次回作はどうする?


という感じのことが、いくつか並行して進んでいる、というイメージです。


私自身は、誰に聞いたわけでもないですが(笑)「音源に関する進行をしながら、どうやったら多くの人に届けることができるのかを考えるお仕事」という捉え方をしていました。



「あ〜今日はバンドAのミュージックビデオの撮影だ〜!」「明日はシンガーソングライターBさんのインストアイベントだ〜!」「明後日はCのミニアルバムのインタビューに立ち会って、Dのマスタリングがあって……。あとCの情報解禁だから今日中にプレスリリース完成させなきゃ〜資料も更新しないと〜!」「契約書の内容確認しなくちゃ〜!」みたいな。会社によって異なるかもしれないので、あくまで私の場合というか。一例として捉えていただければと。私は比較的なんでもやりたいタイプではあるので、まあいろいろやってても大丈夫なんですが、おそらくほかのレーベルさんだともうちょっと役割の分担あるんじゃないかと思います(笑)。


私はありがたいことに、販促や編集、マーケティングといった業務を経てA&Rというポジションに就いたので、ここまでの経験を活かす場面が多かったです。例えば、プレスリリースを書くときは、webニュースを担当していたときのことが役立ったり、ポスターや特典をつくるのに販促時代の知識をつかったり、インストア・イベントのしきりは、K-POP LOVERS!をやっていたときのイベントを参考にしたりとか。


最終的に1年半担当したA&Rのお仕事ですが、それまでの13年間の在籍時の知識をすべて使いつつ、さらに違うことをしていくようなものだったので、大変でしたが、とても楽しかったし、いい勉強になりました。関わったアーティストは全組大好きです。今度まとめよう……。


ちなみに私が一番好きな業務は、インストアイベントです!